東洋医学・漢方薬の専門家が考える「本当の冷え症対策とは」

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新宿加藤鍼灸院・整骨院グループブログ

2019.11.01

鍼治療

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東洋医学・漢方薬の専門家が考える「本当の冷え症対策とは」

『新宿加藤鍼灸院・整骨院グループブログ』をご覧くださり、ありがとうございます。

今日から11月ですね。暦の上では11月上旬から2月上旬までの3カ月間が冬。樹木の葉が枯れ落ち、虫の冬ごもりが始まるなど、動植物の活動が停止する時期です。これが自然のサイクルなのでしょう。私たちも、しっかりと気を養いパワーを蓄えておきたいですね。

今回は、冷え症(冷え性)対策についてお話します。前回ご紹介した「冷え性の本当の原因は?」とあわせてお読みください。

▼冷え性の本当の原因は?~東洋医学・漢方薬の専門的知見より
https://shinjuku.shinkyu.clinic/blog/shinkyu/2806/

冷え症がもたらす影響

冷え症は、さまざまな不調を引き起こします。

冷えは、初期状態だと手足が冷たくなるだけですが、症状が進むと腰やお腹も冷たくなります。かんたんに言うと、体温が下がった状態です。このため、体内の酵素の働きが悪くなります。また、腸には腸管免疫と呼ばれる独特の免疫システムがあり、お腹が冷えると免疫力が低下します。その結果、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまうのです。当然、回復にも時間がかかります。

冷えることで、胃腸自体の働きも悪くなるので、胃もたれや下痢、便秘に悩まされる人もいます。

女性の場合は、生理痛や生理不順の原因が冷えにあることが少なくありません。冷えがあると、骨盤内の血液の流れが悪くなります。生理というのは、子宮を収縮させることで、子宮内膜を体外に出すわけですから、血行が悪いと、より強い収縮が必要になり、痛みを感じるのです。

不妊も冷えが原因になっていることがあります。実際、当院にいらっしゃる患者さんの多くが、身体の深部の温度の目安となる「基礎体温」が低いのです。基礎体温が低い状態だと、卵子の成長に影響を与え、多嚢胞性卵巣や未成熟卵になるなどして、着床しにくくなったり、妊娠しづらくなってしまいます。

他にも冷えと関連する不調は、いろいろあります。気になる症状がありましたら、遠慮なく診察時にご相談ください。

外から温めても意味がない?

冷え対策としては、三首(首・手首・足首)を温めると良いと言われていますが、カイロやサウナ、よもぎ蒸しなどで温めるのには限界があります。これらで温められるのは身体のほんの表面部分だけ。長時間使用するのも難しいですから、根本的な解決は期待できません。

冷えにくい身体を作りたいなら、身体を芯から温めることが必要です。つまり、身体の中の脳や内臓での化学反応を増やさなくてはいけません。身体の中の化学反応が活発になれば、反応熱が増加し、深部の体温が上がり、基礎代謝も活発になります。

身体の芯から温める方法

芯から身体を温めるためには、鍼で深部の筋肉の凝り(コリ)を解消する必要があります。

筋肉が凝っているというのは、筋肉が硬く太くなり、筋の間を走っている神経や血管を締め付けている状態のことです。神経は麻痺し、血液の流れが悪くなっています。

 

この状態だと、身体の隅々にまで血液を行き渡らせることができません。また神経が麻痺していますので、その神経に支配されている身体の機能も低下しています。

深部の筋肉の凝りを解消するために使うのが「鍼」。人間の筋肉は多いところで8層にも重なっていますので、マッサージでは深部の凝りをとることができません。鍼を使う場合も、いかに「見えない」「触れられない」深部に直接アプローチできるかが、カギを握っており、施術者の技量が試されます。

当院では、鍼治療と併用して「漢方薬」も使用します。身体の隅々まで血液が行き渡る状態になったところで、漢方薬を使用しますので、単に漢方薬だけを服用するよりも、効果が期待できるでしょう。

脳や内臓の機能が活性化し、化学反応が活発になります。その際に出る反応熱が、さらに体温を上げ、身体の内部からマグマが湧き出るように身体全体が温まっていくのです。また、黄体ホルモンが増えることでも体温がさらに上がります。

当院の漢方薬の特徴などについては、以前の記事「東京漢方堂薬局の漢方薬は、市販品と何が違う?特徴、飲み方、保存法」でくわしく解説していますので、ぜひご覧ください。

東京漢方堂薬局の漢方薬は、市販品と何が違う?特徴、飲み方、保存法
https://shinjuku.shinkyu.clinic/blog/medicine/2740/

 

この状態まで身体を整えられたら、あとは、その熱を外気に奪われないように、三首(首・手首・足首)をマフラーや手袋、靴下などでガードすれば大丈夫です。皮膚のすぐ下に太い動脈が流れている三首は、気温の影響を受けやすいので、夏にも冷えを感じる方はスカーフやアームウォーマーなども上手に活用するといいでしょう。

以前の記事「加藤式治療における鍼・整体・漢方薬が妊活に効果的な理由」でも説明していますので、こちらもぜひご覧ください。

加藤式治療における鍼・整体・漢方薬が妊活に効果的な理由
https://shinjuku.shinkyu.clinic/blog/shinkyu/2800/

 

冷えは万病のもと」と言われます。これからの季節は、クリスマスや忘年会、お正月、新年会など、楽しいイベントも目白押し。一方で疲れがたまりやすい時期でもあります。具体的な不調までは症状として出ていなくても、身体のメンテナンスを兼ねて、お気軽にお立ち寄りください。