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新宿加藤鍼灸院・整骨院グループブログ

2025.09.24

養生法など

テーマ:

ワンダーリッヒ症候群と出血傾向

ワンダーリッヒ症候群は、外傷や医原性の手術・処置によらず、自然に腎臓被膜下または腎周囲に出血が起こる病態を指します。

医学的には「自然腎被膜下出血(spontaneous nontraumatic renal hemorrhage)」と呼ばれることもあります。


◆ 主な原因

自然出血の背景に多くは腎疾患が存在します。代表的な原因は:

  • 腎血管筋脂肪腫(angiomyolipoma, AML):良性腫瘍、特に大きい場合に出血リスク大

  • 腎細胞がん(renal cell carcinoma, RCC)

  • 血管疾患(動脈瘤、血管炎)

  • 凝固異常、抗凝固薬の使用


◆ 臨床症状(クラシック三徴)

「レンケの三徴(Lenk’s triad)」と呼ばれる典型症状があります:

  1. 側腹部や腰背部の突発的な激痛

  2. 腹部の腫瘤触知

  3. 出血性ショック症状(血圧低下・頻脈・冷汗など)

ただし実際には3つすべてが揃うことは少なく、痛みや貧血で発見されるケースが多いです。


◆ 診断

  • 腹部CT(造影CTが標準):腎周囲血腫や腫瘍の有無を確認

  • MRI:腫瘍の質的診断

  • 血液検査:貧血・炎症反応・腎機能


◆ 治療

  • 循環動態が安定している場合

    → 安静・輸血・血圧・Hbの経過観察

  • 出血が持続する場合/腫瘍性病変が原因の場合

    選択的動脈塞栓術(TAE) が有効

  • 悪性腫瘍疑い・コントロール不能出血

    → 腎摘出術


◆ 予後

  • 良性腫瘍による場合はTAEや手術で比較的良好

  • 悪性腫瘍の場合は基礎疾患に依存

  • 出血性ショックで致命的になる可能性もあり、早期診断と対応が極めて重要

    ◆ ワンダーリッヒ症候群と出血傾向

    ワンダーリッヒ症候群は、腎血管筋脂肪腫や腎がんなどが原因で腎周囲に自然出血が起きる病態です。

    背景に「止血異常(血小板・凝固因子の異常)」や「抗凝固薬使用」があると、出血リスクが高まります。


    ◆ 生理出血過多との関連の可能性

    1. 全身的な出血傾向の一部として両者が現れる場合

      • 血小板減少症(ITP、再生不良性貧血など)

      • 凝固異常(フォン・ヴィレブランド病、血友病キャリアなど)

      • 抗凝固療法中(ワルファリン・DOACなど)

        → 生理出血過多と同時に腎臓出血=ワンダーリッヒ症候群を発症することも理論的にはあり得ます。

    2. ホルモンの影響

      • エストロゲン低下や黄体機能不全で生理過多になる人はいますが、これ自体が腎出血のリスク因子になることはありません。

      • ただし、子宮筋腫による過多月経+貧血 → 体力低下や循環血液量減少 → 出血時にショックになりやすい、という間接的リスクはあり得ます。

    3. 偶発的な併存

      • 中年女性では「過多月経(婦人科疾患)」と「腎腫瘍(ワンダーリッヒ症候群の原因)」が偶然同時に起こることもあります。


    ◆ 臨床的な注意点

    • 過多月経があり、さらに突発的な腰背部痛や貧血悪化がある場合は、婦人科疾患だけでなく腎臓出血(ワンダーリッヒ症候群)も鑑別に入れる必要があります。

    • もし「生理出血過多+原因不明の内出血」があれば、**全身性の出血傾向(血液内科での評価)**を考慮すべきです。

      ◆ 過多月経と全身性出血傾向を見分けるチェックリスト

      1. 出血の部位

      • □ 出血が「月経」だけ → 婦人科疾患の可能性が高い(子宮筋腫、内膜症など)

      • □ 鼻血・歯ぐき出血・皮下出血(あざ)・止血困難な出血がある → 全身性出血傾向を疑う


      2. 出血のきっかけ

      • □ 手術や抜歯で止血が遅い

      • □ 出産や流産後に大量出血があった

      • □ ケガで出血が長引く

      → これらがあれば、凝固異常や血小板機能異常を考える


      3. 出血の持続時間と量

      • □ 生理期間が 7日以上続く

      • □ 生理でレバー状の血塊が頻繁に出る

      • □ ナプキンを1時間ごとに交換しなければならない

      • □ 貧血症状(動悸・息切れ・倦怠感)が強い

      ※婦人科由来でも起こるが、全身性出血傾向ではさらに強いケースあり


      4. 家族歴

      • □ 親や姉妹にも「生理が多い」「出血が止まりにくい」人がいる

        → フォン・ヴィレブランド病などの遺伝性疾患を疑う


      5. 既往・薬剤歴

      • □ 抗凝固薬・抗血小板薬(ワルファリン、DOAC、アスピリンなど)を内服中

      • □ 血液疾患の既往(白血病、ITP、再生不良性貧血など)がある


      ◆ まとめ

      • 「月経のみが多い」→ 婦人科(子宮筋腫・内膜症・ホルモン異常など)

      • 「月経+その他の出血症状」→ 全身性出血傾向(血液内科で精査必要)

        ◆ 症例イメージ:ワンダーリッヒ症候群の女性例

        患者背景

        • 42歳女性

        • 既往歴:特記なし

        • 月経はやや多めで、最近「貧血ぎみ」と婦人科で指摘されていた


        受診の経緯

        • 月経中に突然の左腰背部の激痛を自覚

        • 「生理痛が強くなった」「子宮筋腫が悪化したかもしれない」と思い婦人科を受診

        • 血圧低下(90/50)、顔面蒼白、冷汗、強い倦怠感


        初期診断

        • 婦人科の内診では明らかな子宮の腫大なし

        • 血液検査で急速なHb低下(9.5 → 6.8 g/dL)

        • 緊急で腹部CTを施行 → 左腎周囲に大きな血腫を認めた


        最終診断

        • ワンダーリッヒ症候群(左腎血管筋脂肪腫の破裂による自然腎周囲出血)


        治療経過

        • 血圧が不安定だったため、**腎動脈塞栓術(TAE)**を施行

        • 出血はコントロールされ、数日間の輸血・安静で回復

        • 後日、腎腫瘍が良性の血管筋脂肪腫と確定診断された


        ポイント

        • 月経中の出血増加や腹痛と紛らわしく、婦人科疾患と誤解されやすい

        • 「月経中に腰背部痛+急速な貧血悪化」があれば、婦人科だけでなく腎臓・泌尿器疾患も鑑別に入れる必要がある

        • 特に女性は「過多月経」や「生理痛」と自己判断しやすいため、見逃しや遅れにつながる。不妊鍼灸,妊活,不妊治療,不妊漢方相談は新宿加藤鍼灸院整骨院へ