上殿皮神経痛の鍼治療

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新宿加藤鍼灸院・整骨院グループブログ

2025.07.03

鍼治療

テーマ:

上殿皮神経痛の鍼治療


上殿皮神経痛

主な原因

1. 神経の絞扼(圧迫)

  • 骨盤や腰部の筋肉(特に大殿筋、腰背筋群)の緊張や硬化

  • 仙腸関節周囲での筋膜の癒着や炎症

  • 長時間の座位や姿勢不良

  • 引っ越しなどの力仕事
  • ベルト・きついズボン・腰用コルセットなどの外部圧迫

2. 外傷・手術後の影響

  • 腰部や骨盤の打撲、転倒

  • 腰椎椎間板ヘルニアや手術後の瘢痕による神経の刺激

  • 整形外科的処置(例:骨盤骨折、手術後の線維組織の形成)

3. 神経根や脊髄からの放散痛との関連

  • 上殿皮神経はL1〜L3の神経根からの枝なので、L1~L3を通る筋肉の緊張が原因となる場合もあります。上殿皮神経が大腿部まで伸びているとの報告があり、坐骨神経痛と鑑別して間違わないようにすること。

4. その他の誘因

  • 冷えや血行不良

  • 中高年に多い加齢性変化

  • スポーツ(特に走行、ジャンプなど骨盤に負担がかかる動作)


症状の特徴

  • 臀部の上外側に鋭い痛みやしびれ

  • 片側性のことが多い

  • 押すと痛い圧痛点がある(※上殿皮神経出口部)

  • 長時間の座位や歩行で悪化しやすい

    原因の例:


    鍼治療によるアプローチ

    鍼治療では、筋緊張の緩和作用が最もあるので、整体では完全に緩和できない筋緊張を柔らかくするので、一度の治療原因除去が可能な場合が多いです。

    筋緊張緩和に伴い血流改善神経の圧迫緩和を目的に施術が行われます。

    1. 施術ポイント(ツボ)。

    • 腸骨稜付近(上殿皮神経の出口):最も重要なポイント

    • 腰部:大腸兪(だいちょうゆ)、腎兪(じんゆ)

    • 臀部:環跳(かんちょう)、中殿筋・小殿筋トリガーポイント

    • 下肢:委中(いちゅう)、承山(しょうざん)など関連部位

    2. 治療効果

    • 筋緊張の緩和により神経の圧迫を軽減

    • 局所の血流改善によって神経の栄養状態改善

    • 鍼の鎮痛作用(内因性オピオイド系、セロトニンの放出促進)

      痛みやしびれ、コリ、だるいなどの不調は新宿加藤鍼灸院整骨院の鍼治療と漢方薬、整体、マッサージの総合自然療法をお試しください

       
       
      腰痛と上殿皮神経痛の違い
       

      腰痛と上殿皮神経痛は、どちらも腰やその周辺に痛みを引き起こす可能性があるものですが、原因や痛みの性質が異なります。


      ◆ 腰痛(ようつう)

       定義

      腰部(腰の中央〜下の背中)に感じる痛みの総称。

       原因(多岐にわたる)

      • 筋肉や靭帯の炎症(例:ぎっくり腰)

      • 椎間板ヘルニア

      • 脊柱管狭窄症

      • 腰椎の変形や老化(変形性腰椎症)

      • 内臓疾患(腎臓、子宮など)

       症状の特徴

      • 腰部全体に鈍い痛みや鋭い痛み

      • 動くと悪化することが多い

      • 安静で軽減することもある


      ◆ 上殿皮神経痛(じょうでんひしんけいつう)

       定義

      上殿皮神経(L1~L3から出る皮神経)が圧迫・刺激されて起こる神経痛。

      原因

      • 腰椎の変性や手術後の瘢痕

      • 筋肉の緊張(中殿筋や腰方形筋など)

      • 神経の出口部分での絞扼(筋肉や靭帯で圧迫される)

      • 仙腸関節の障害

       症状の特徴

      • 腰の片側〜お尻の外側あたりにピリピリ・ビリビリした痛みやしびれ

      • 皮膚の表面近くの神経痛のような感覚(触ると過敏なことも)

      • 特定の動きで痛みが悪化(例:腰のひねりや体重移動)

      • 腰痛と思われやすいが、殿部(お尻)寄りに強い痛み


      ◆ 違いのまとめ

      特徴 腰痛 上殿皮神経痛
      原因 筋骨格系・内臓など多様 神経の圧迫・刺激
      痛みの場所 腰全体、深部 腰の一部〜お尻の皮膚表面近く
      痛みの性質 鈍痛・鋭痛 ピリピリ・しびれ・焼けるような痛み
      誘発要因 動作、姿勢など 特定の動きや圧迫点
      診断 画像診断・問診など 圧痛点の確認で判断

     


    注意点・限界

    • 一時的な効果のみの場合もあり、継続的な施術が必要なことがある

    • 原因が構造的な問題(例:手術後癒着など)の場合、他の治療併用が必要

    • 鍼治療を行う際は、上殿皮神経障害の正確な診断が前提


    結論

    鍼治療は上殿皮神経痛に対して、有効な選択肢となることが多く、特に筋膜性の原因やトリガーポイントによる絞扼に対して良好な効果が期待されます。ただし、他疾患との鑑別をしっかり行った上で、筋緊張を柔らかくすることができる鍼灸師でなければ治療効果がありません。