五十肩・大腿神経痛・坐骨神経痛・顔面神経麻痺・腱鞘炎、顎関節症(歯ぎしり、食いしばり、かみしめ)

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新宿加藤鍼灸院・整骨院グループブログ

2025.05.05

鍼治療

テーマ:

鍼適応疾患の絞扼性神経障害(手根管症候群、肘部管症候群、橈骨神経麻痺、腓骨神経麻痺、梨状筋症候群)、五十肩・大腿神経痛・坐骨神経痛・顔面神経麻痺・腱鞘炎、顎関節症(歯ぎしり、食いしばり、かみしめ)

絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)とは、末梢神経が周囲の構造(骨、靭帯、筋肉、腫瘍、瘢痕組織など)によって慢性的に圧迫(絞扼)されることによって起こる神経障害です。


主な特徴

  • 神経の通り道で圧迫が起こる

  • しびれ、痛み、筋力低下などが生じる

  • 圧迫が長期間続くと、回復が困難になることもある


よく見られる部位・疾患

神経 絞扼部位 疾患名
正中神経 手首(手根管) 手根管症候群
尺骨神経 肘(肘部管) 肘部管症候群
橈骨神経 上腕部や前腕 橈骨神経麻痺
腓骨神経 膝外側 腓骨神経麻痺
坐骨神経 梨状筋部 梨状筋症候群

診断方法

  • 問診・神経学的検査(チネル徴候、ファーレンテストなど)

  • 画像検査(MRI、エコーなどで圧迫部位を確認)

  • 神経伝導速度検査(神経の伝達速度の遅延を調べる)


治療法(鍼治療以外)

軽症 中等症〜重症
安静、装具(スプリント)、消炎鎮痛薬 手術(神経開放術など)

予後

  • 早期に発見し、原因の圧迫を取り除けば回復する可能性は高い

  • 長期間の絞扼は神経変性を引き起こし、不可逆的になることがある。

️ 手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome)

概要

手根管症候群は、手首にある「手根管」というトンネル状の空間で、正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫されることによって発症します。現代では、パソコン作業やスマホの多用によって発症が増加しています。


正中神経とは?

正中神経は、腕から手にかけて走行する神経で、親指・人差し指・中指・薬指の半分に感覚を供給し、親指の筋肉の一部も支配します。


主な症状

  • 親指・人差し指・中指・薬指のしびれ・痛み(特に夜間や朝方に強い)

  • 手を振ると楽になる(シェイクサイン)

  • 細かい作業がしにくい

  • 進行すると、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が萎縮


診断

  • チネル徴候:手首をたたくと、指先に電気が走るような感覚

  • ファーレンテスト:手首を曲げた状態で保持するとしびれが出る

  • 神経伝導速度検査:伝導遅延の確認

  • 超音波検査・MRI:神経の腫れや圧迫の様子を確認


治療法(鍼治療以外)

軽症〜中等症 重症
– 安静
– 手首の固定(スプリント)
– 消炎鎮痛薬(NSAIDs)
– ステロイド注射
手術(手根管開放術):靭帯を切って神経を圧迫から解放

予後

  • 早期治療でほとんどの人が改善

  • 放置すると神経の損傷が進行し、感覚麻痺や筋萎縮が残る可能性があります。


‍⚕️ 発症リスクが高い人

  • パソコン・スマホ作業が多い人

  • 妊婦(むくみで圧迫されやすい)

  • 更年期の女性(ホルモンバランスの変化)

  • 糖尿病、甲状腺機能低下症などの持病を持つ人

 

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

尺骨神経の絞扼による障害

概要

肘の内側(内側上顆の後ろ)にある肘部管で、**尺骨神経(しゃくこつしんけい)**が慢性的に圧迫されて起こる障害です。

肘をぶつけたときのジーンとした痛み”も、尺骨神経が一時的に刺激されたものです。


主な症状

  • 小指と薬指の半分のしびれ・痛み

  • 手の筋力低下(特に指を開く/閉じる動き)

  • 鉤爪変形(claw hand):進行すると小指と薬指が曲がったままになる

  • 筋萎縮:手の内在筋(骨間筋など)の萎縮


診断

  • チネル徴候(肘部)

  • フローマン徴候:紙を親指と人差し指でつまんでも親指が曲がってしまう

  • 神経伝導速度検査(尺骨神経の伝導障害確認)


治療(鍼治療以外)

軽症 重症
– 肘の安静(就寝時の肘伸展固定)
– 抗炎症薬
– 生活習慣改善(長時間肘を曲げない)
尺骨神経前方移動術
神経開放術(靭帯や骨の除圧)

リスク因子

  • デスクワークや肘をつく習慣

  • ガテン系作業(肘の多用)

  • 骨折後の変形、加齢性変化


腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)

総腓骨神経の絞扼による障害

概要

腓骨神経は膝の外側(腓骨頭の周囲)を走行しており、ここで圧迫されやすいです。浅い位置を走るため、直接的な圧迫や外傷で麻痺が起こりやすいです。


主な症状

  • 足の甲・外側のしびれ

  • 足首や足指が持ち上がらない(下垂足=drop foot)

  • 歩行障害:つまずきやすくなる、つま先を引きずる歩き方(鶏歩)


診断

  • 足関節背屈の筋力低下

  • 神経伝導検査で伝導遅延を確認

  • MRI・超音波で圧迫部位の確認


治療(鍼治療以外)

軽度 重度
– 安静、患部保護
– 神経ブロック
– リハビリ
– 圧迫因子の除去(腫瘤、ギプス圧迫など)
– 外科的開放術
– 装具(下垂足用)

よくある原因

  • 長時間のあぐら、正座、足組み

  • ギプス固定膝外傷後

  • 痩せ型の人は圧迫を受けやすい


✔️ まとめ:絞扼性神経障害の代表例比較

疾患名 圧迫神経 圧迫部位 主な症状
手根管症候群 正中神経 手首 親指〜中指のしびれ、母指球萎縮
肘部管症候群 尺骨神経 小指のしびれ、鉤爪変形
腓骨神経麻痺 総腓骨神経 腓骨頭部 下垂足、歩行障害

1. 五十肩(ごじっかた)=肩関節周囲炎

概要

40~60代に多くみられる、肩の痛みと可動域制限を特徴とする疾患。正式には肩関節周囲炎と呼びます。

症状

  • 肩の痛み(特に夜間痛)

  • 腕が上がらない(服を着る・髪を結うのが困難)

  • 凍結肩(フローズンショルダー)と呼ばれることも

治療(鍼治療以外)

  • 消炎鎮痛薬(NSAIDs)

  • リハビリ(可動域訓練)

  • 関節内注射(ステロイド)

  • 重度は関節鏡手術も


2. 大腿神経痛(だいたいしんけいつう)

概要

大腿神経の障害または圧迫により、大腿部の前面にしびれや痛みが出る状態。腰椎疾患や外科手術後に見られることがあります。

症状

  • 太もも前面の痛み・しびれ

  • 歩行や階段の上り下りが困難

  • 膝の伸展力が弱まることもある

治療(鍼治療以外)

  • 原因疾患の治療(腰椎椎間板ヘルニア、術後の癒着など)

  • 薬物療法(ビタミンB12、鎮痛薬)

  • ブロック注射やリハビリ


3. 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)

概要

坐骨神経が圧迫・刺激されることで、お尻から足にかけて放散する鋭い痛みやしびれが生じます。症状の原因ではなく症候名です。

原因となる代表疾患

  • 腰椎椎間板ヘルニア

  • 脊柱管狭窄症

  • 梨状筋症候群

症状

  • お尻〜太もも裏〜ふくらはぎの放散痛・しびれ

  • 長時間の座位や立位で悪化

  • 痛みで歩行困難になることも

治療(鍼治療以外)

  • 原因に応じた薬物療法、ブロック注射、リハビリ

  • 重症例では手術(椎間板摘出、狭窄解除)


4. 顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)

概要

顔面神経の障害によって、顔の片側の筋肉が動かしにくくなる状態。多くはベル麻痺(特発性)または帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)が原因。

症状

  • 顔の片側が動かない(まばたきできない、口元が下がる)

  • 味覚障害、涙・唾液の分泌異常

  • 帯状疱疹由来なら耳痛・水疱も伴う

治療(鍼治療以外)

  • ステロイド(ベル麻痺)

  • 抗ウイルス薬(ラムゼイ・ハント症候群)

  • リハビリ(表情筋の運動)

  • 鍼灸も補助的に行われることあり


5. 腱鞘炎(けんしょうえん)

概要

腱とそれを包む腱鞘が摩擦・炎症を起こす病気。手首や指に多く見られ、繰り返しの動作・出産後・更年期などで発症しやすい。

代表疾患

  • ド・ケルバン病(親指の腱鞘炎)

  • ばね指(指の曲げ伸ばしで引っかかる)

症状

  • 動作時の痛み・腫れ

  • 動かすと「カクッ」と引っかかる(ばね指)

  • 押すと強い圧痛がある

治療(鍼治療以外)

  • 安静、サポーター

  • 消炎鎮痛薬・ステロイド注射

  • 難治例では腱鞘切開手術

✅ 各疾患の比較表(五十肩・大腿神経痛・坐骨神経痛・顔面神経麻痺・腱鞘炎)

疾患名 主な部位 主な症状 主な原因・背景 主な治療法(鍼治療以外)
五十肩 肩関節 肩の痛み、可動域制限、夜間痛 加齢による炎症(肩関節包・滑液包) リハビリ、鎮痛薬、ステロイド注射、関節鏡手術
大腿神経痛 太もも前面 しびれ、痛み、膝の力が入りにくい 腰椎疾患、術後の癒着、糖尿病など 神経ブロック、鎮痛薬、リハビリ
坐骨神経痛 腰〜お尻〜脚裏 放散痛、しびれ、足の力が入りにくい 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、梨状筋症候群 原因治療、鎮痛薬、リハビリ、ブロック、手術
顔面神経麻痺 顔(片側) 顔の動きにくさ、口元の下がり、味覚異常 ベル麻痺(特発性)、帯状疱疹(ラムゼイ・ハント) ステロイド、抗ウイルス薬、表情筋訓練
腱鞘炎 手首・指 動作時の痛み、腫れ、ばね指(引っかかり) 指や手首の使いすぎ、ホルモン変化 安静、サポーター、注射、腱鞘切開手術

顎関節症(Temporomandibular Disorder:TMD)

概要

顎(あご)の関節や咀嚼筋の障害によって起こる機能異常の総称です。

若年〜中年の女性に多く、現代ではストレスや生活習慣が深く関係しています。


主な症状(3大主徴)

  1. 顎関節やこめかみの痛み(咀嚼時、会話時など)

  2. 開口障害(口が大きく開かない・痛みで開けづらい)

  3. 関節雑音(カクン、ガリガリなどの音がする)

※これらの1つまたは複数があると「顎関節症」の疑いがあります。


主な原因・要因

カテゴリ
習慣的要因 歯ぎしり(ブラキシズム)、くいしばり、頬杖、片側噛み
心理的要因 ストレス、緊張、不安
構造的要因 噛み合わせ異常(咬合)、顎関節円板の異常
外傷的要因 あごの打撲、長時間の歯科治療姿勢など

分類(厚労省分類)

  1. 咀嚼筋障害型(筋肉の痛みが主)

  2. 顎関節内障型(関節円板のズレ・転位)

  3. 変形性関節症型(骨の変形を伴う)


治療法(鍼治療以外)

種類 内容
保存療法(第一選択) ・生活指導(姿勢、噛み癖の修正)
・鎮痛薬(NSAIDs)
・筋弛緩薬や抗不安薬
・スプリント(マウスピース)
・温熱・理学療法
精神心理療法 ストレスマネジメント、認知行動療法
外科的療法 関節洗浄(関節腔内洗浄)
関節鏡手術(重症例)※多くは不要

‍⚕️ 日常生活での注意点

  • 硬いものを避ける

  • 大きな口を開けない(あくび・歌唱など)

  • 片側で噛むクセを治す

  • 長時間うつ伏せ寝を避ける

  • リラックスして肩の力を抜く習慣を持つ


✅ 予後

多くの場合は保存的治療で改善しますが、放置すると慢性化や関節変形につながることがあります。

早期発見・早期対応が重要です。

新宿加藤鍼灸院整骨院はこれらの疾患を治療してます。